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2019年2月

〜FUJITOYOクオリティへの世界の評価〜

「PREMIERE VISION PARIS 2019」に、日本のクロコダイル専門タンナーとして初出展

藤豊工業所 専務 藤城耕一

年に2回、フランス・パリで開催される世界最高峰のファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン・パリ」。私たち素材メーカーにとっては、その名前を聞いただけで身が引き締まる聖地のような場です。縁あって、藤豊工業所はエントリーの機会を得、エキスパートで構成された選考委員会による審査を通過し、2019年2月、クロコダイルタンナー「FUJITOYO」として出展を果たしました。日本のクロコダイルタンナーとしても初の出展であり、さらに、エキゾチックレザー専門のタンナーとしては、3年ぶりの新規参入だったそうです。

パリ・ノール ヴィルパント見本市会場にて

パリ・ノール ヴィルパント見本市会場にて。
藤豊工業所は、「LEATHER」ゾーンの、「NEW EXHIBITORS AREA」に出展。

「プルミエール・ヴィジョン・パリ」では、ブースの装飾や演出が一律に禁じられ、簡素な什器に素材を吊るすだけというルールが徹底されています。その特殊なルールにより、まさに素材の力のみで、来場するファッション関係者にFUJITOYOのクロコダイルを訴求しなければなりません。HENG LONG(ヘンロン社)、FRANCE CROCO(フランスクロコ社)、HCP(エルメスキュイールプレシュー社)といった権威あるクロコダイルタンナーを筆頭に、20以上のエキゾチックレザータンナーが同じエリアに出展している中で、目にとめてもらえるのかという不安もありましたが、「3年ぶりの新規参入が日本のタンナー」という前評判も手伝ってか、来場者が途絶えることはありませんでした。
FUJITOYOは、十八番であるマットフィニッシュ、アートフィニッシュ、そして、かねてから温めていた、天然原料の鞣剤と染料にこだわったエコレザーという3つのセレクションで出展に臨みましたが、もっとも注目を集めたのは、エコレザーでした。

植物タンニンでなめしたクロコダイルのヌメ革をベースに、本藍や柿渋といった天然の染料で染めるFUJITOYOのエコレザーは、ミツロウなどの天然原料を革の内部に染み込ませた<ブライドルレザー>、<ブライドルレザー>をさらに進化させた<リッチエイジング>、メノウ石でツヤツヤに磨き上げる<エコ・グレージング>と、エコレザーだけで3種類をラインアップしました。エコレザーの前で立ち止まる来場者に対して、“ここからここまですべてvegetable tan and dyeです”とアナウンスするたびに、“信じられない!”という心の声が聞こえるようでした。そして革を手にとりながら、工程についての極めて専門的な質問に発展。彼らの関心は終始、革のクオリティのみに注がれ、ここが世界最高峰の素材見本市である実感が湧き上がりました。

クオリティというと、日本では単純に「品質」の意味を指すような気がしますが、欧米で使われるクオリティという言葉には、「愛着がわく」とか「感性に響く」といった情緒面でのニュアンスも含みます。エコレザーに限らず、FUJITOYOクオリティの基準はつねに後者です。基準としては曖昧になりがちですが、感動をともなう革であって初めて、バッグや財布として愛着を持つことができるのも事実です。革への愛着は、大切に使い続けたいという思いを引き出し、もともと高い堅牢度を持つクロコダイルレザーがさらに長持ちする…。ただ天然原料を使っているというだけでなく、人の心を動かすレベルのクオリティを目指し、繊細な天然薬剤と格闘。気の遠くなるようなトライアンドエラーを経て、10年以上、レシピのブラッシュアップを重ねてきました。

<ブライドルレザー>の本藍染め。深みのあるインディゴブルーが、クロコダイル本来の風合いや表情を引き立てる。

結論から言うと、“Vegetable tanning Chrome free! Formalin free!”と書いた小さなタグに気づかれないまま、つまり、エコやベジタブルというタイトルなしに、革のクオリティのみで人を惹きつけるという、“演出禁止の簡素なブース“にしか起こり得ないハプニングの繰り返しによって、自信は確信に変わっていきました。 ちなみに、天然の薬剤は非常に高価で、革の単価が上がってしまったことが商談のネックになるリスクも案じていたのですが、“ベジタブルでこのクオリティならもっと高価でもいい”というポジティブな反応が多く、“エコ”という要素は、世界規模のブランディングを要される欧米のブランドにとって、今や重要な付加価値なのだと感じました。その需要に応えるべく、2回目の出展となる2019年9月17日から開催の「プルミエール・ヴィジョン・パリ」では、エコレザーのコレクションをさらに拡充します。

FUJITOYOエコレザーの品質について

革の品質を示す基準に、美しさや風合いのほか、「染色堅牢度(耐光)」というJIS規格の試験がある(JIS L 0843)。太陽光を模した人工光を一定時間照射し、退色度(色褪せ)を1〜5級の5段階で測るもので、繊維や印刷物にも共通する指標。退色のしづらさは染色時の水温の高さに比例するため、4-5級をクリアする素材は、高温での染色が可能な繊維が占める。50度前後の低温でしか染色できないクロコダイルレザーにおける及第点は「3級」とされる中、藤豊工業所のエコレザーはすべて3級をクリアしている。

エコレザーの完成に10年以上の歳月をかけた背景には、FUJITOYOが追求する“理想のクロコダイルレザー”の存在がありました。時は遡ってさらに数十年前、ツヤツヤに磨き上げるフォーマルなグレージング仕上げ一辺倒だった時代のことでした。私の父が、「クロコダイルレザーの魅力をもっと引き出してみたい」と、マットフィニッシュという当時のヨーロッパの最新技術を取り入れたのですが、これこそが、現在のFUJITOYOクオリティにつながる、より本質的な品質追求の始まりだったのではないかと思います。この技術の恩恵は素晴らしく、まず、革本来の柔らかさを損ねないため、バッグや小物を作る際にデザインの自由度が高いのが特徴です。さらに、きめ細かな革の風合いや、天然の凹凸による自然な陰影が生きるため、美しさや品格が最大限に引き出されます。FUJITOYOではすでに、革内部に染料を染み込ませるドラムダイのみの発色と、コットンバフによる磨き仕上げのみで、目指す色を正確に表現できる技術を獲得しています。その土台となるなめしの技術も高いレベルで要されますが、なめし・染色・仕上げのレシピを三位一体でブラッシュアップし続け、現在では、FUJITOYOクオリティの代名詞として高い評価を受けています。実は、今回の出展のきっかけも、このFUJITOYOのマットフィニッシュが、革の本場であるイタリアで、日本のタンナーによるものだと知らないまま高い評価を受けたことでした。その事実もまた、あらためてクロコダイルレザーという素材の本質について考えさせるものでした。

プルミエール・ヴィジョンでは、マットフィニッシュも各色展示。ふっくらした革の質感とともに、ドラムダイ100%による透明感のある発色に注目が集まった。

マットフィニッシュ

革に染み込ませる染料のみによる染色技術。顔料を一切使わずに鮮やかで繊細なカラーリングを実現。
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アートフィニッシュ

マットフィニッシュをベースに、レインボー加工やアンティーク加工といったアーティスティックな二次加工を施したもの。
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エコレザー

植物タンニンでなめしたヌメ革を基本ベースに、天然の染料で染める。<ブライドルレザー>、<リッチエイジング>、<エコ・グレージング>の3種類。
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